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クリエイター支援に関するFAQ

ホームページ制作
 事業者向けのホームページ制作をしています。webデザインも合わせて行っています。HPにおいて、著作権で保護されるものはどこまでかということと、制作代金をお客様からいただいたら、著作権も自動的に移転するのかについて教えてください。

 ホームページ(以下「HP」という)には、写真、挨拶文、会社概要、沿革、営業案内、技術の説明、問い合わせ方法等からなります。著作権法との関係では、著作物であるか否かをみておく必要があります。

1) 写真
 写真の撮影者が、写真の著作物の著作者です。撮影者の許諾なしにHPに利用できません。HP制作者が撮影者のときは、当然にも自由に利用できますし、トリミングその他の改変もできます。
 著作権以外に気をつけることは、人格権です。被写体の人物には、その写真を無断で勝手に使用されない権利があります。

2) 挨拶文
 社長の挨拶をヒアリングして文書にしたときに、社長の話そのものは、社長を著作者とする言語の著作物です。これをヒアリングしてほとんど忠実に文書化したのであれば、ヒアリングした人の創作性が乏しいと思いますが、ライターの方が、読み手がわかりやすいように表現を変えたり補足したりしたような場合には、その改変した部分につき著作者として認められる場合があると思われます。そのようなとき社長が著作者で、ライターは、二次的著作物(著作権法第27条)の創作者(著作者)になります。これを用いて他の媒体に利用するときは、社長とライターの両方に許諾をとる必要があります。
 このことは、以下の「営業案内」「技術説明」でも同じことがいえます。基本情報(コンテンツ等)は発注者側が提供したとしても、HP全体の構成を考え、追加・削除・修正をライターが行ったときは、ライターが二次的著作物の創作者たりえます。

3) 会社概要、沿革
商号、住所、電話番号、事業内容、沿革等は、単なる事実を記載したものであり、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは認められないものと思われるため、著作権法で保護される著作物ではないと思われます。

4) 営業案内
商品の機能、操作方法等を普通に表示したものは、著作物性は乏しいと思われます。しかしながら、「商品開発の思い」であったり、その商品を通じてどのような価値を顧客に届けるかという価値創造のストーリーについては、著作物性が生じているものと認められます。この場合は、ライターが著作者です。

5) 技術等の説明
どのような技術的課題があり、それをどのように解決したのかということは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当するものと思われ、その説明を書いた人、技術者からヒアリングして読者にわかりやすく書きなおしたライターが著作者となります。

6) 問い合わせ方法
問い合わせフォームも、ありふれたものであれば、著作権的な保護がないものと思われます。しかしながら、その配置・配列等に創作的な工夫があるものについては、著作権法で保護される場合もあります。この点については、個別、具体的な検討が必要になります。

7) webデザイン
webデザインについては、すべてが著作権法で保護されるものではないものの、レイアウトその他の表現については一般的にみて制作者が著作者とみておくべきでしょう。なお、依頼によりワンポイントマークを製作したような場合に、その表現の制約性ゆえに著作物性が否定される場合もあり、個別具体的な判断が必要なケースもあります。

 

 発注者が制作代金をホームページ制作者に支払ったときに、自動的に権利が移転するのは、ホームページを利用する権利、その他あらかじめ合意した記録メディア等の所有権等です。
 制作代金の支払いにより、著作権が自動的に移転しないことは留意すべきです。
 著作権を譲渡するときは、その内容、とりわけ二次的著作物の創作権等の扱いを協議することが重要です。二次的著作物とは、たとえば、ある小説家の小説を脚本にすることや、脚本をもとに映画にするというときの「脚本」 「映画」がそれに該当しますし、改変や切除を経た著作物も含まれます。
 二次的著作物に関する権利をすべて譲渡するときは「以下の著作権(著作権法第27条、第28条の権利を含む。)を貴社(貴殿)に譲渡します。」というような表現を含む著作権譲渡契約書(譲渡証書を含む。)を締結します。

 なお、著作権を譲渡しないことと、譲渡すること以外に、著作物利用許諾契約書として、その利用の内容を自由に取り決めできることも知っておく必要がありいずれにせよ、著作権の帰属問題は制作受託契約時に明らかにすべき事項です。

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ホームページ制作
 画家です。個展に発表する絵画は著作物だと思いますが、町おこしイベントキャラクターの公募の対象となるイラストは著作物なのでしょうか?もし、イラストが著作物であったときに、そのイラストがぬいぐるみとして商品化されたときは、ぬいぐるみも著作物なのでしょうか?

 すでに絵本や個展で公表しているキャラクターのいくつかの姿態を応募するようなときは、著作物として認められる場合が多いと思われます。

 キーホルダーやぬいぐるみといった商品に利用するためのキャラクターのイラストの公募に参加してほしいと依頼されることがあります。キャラクターデザインの公募に際して、公募要領には、「採用作品の著作権その他の権利は採択事業主に属することになります。」という趣旨の記載がよくみられます。

 今、人気を博する「ゆるキャラ」と言われる地域おこし、町おこしキャラクターは、絵画の著作物とみとめられる場合が多いと思われます。上記のように、公募要領に「採用された著作権の権利は採択事業主」に帰属すると記載されていても、具体的な著作権譲渡契約が締結されないときには、あとで法的問題に発展する可能性があります。すくなくとも、上記公募要領の表現以外に取り決めがないときは、二次的著作物の創作権や利用権は、採択事業者には帰属しないと見ることができます。

 イラストとぬいぐるみとの関係についてですが、イラストが著作物であったとき、そのイラストに依拠したぬいぐるみであるときは、そのぬいぐるみも著作物と認められる場合もあります。そのとき、ぬいぐるみは、イラストの著作権中の「複製権」ではなく「二次的著作物の創作権」の許諾対象となります。自治体が著作者から「二次的著作物の創作権」を譲り受けていないときは、著作者にその許諾の可否の権利がある場合があり、契約上明快に取り決めるべき事項ということができます。なお、以下の「参考」もご覧ください。

(参考)
 ファービー人形事件(山形地裁 平成13.9.26平11(わ)184号, 仙台高裁 平成14年7月9日平成13年(う)第177号)では、実用品・工業製品としてのぬいぐるみであっても、著作物たり得るためには、美術品同様の美的観賞の対象たりうる審美性が必要であるとされ、その著作物性は否定されました。
 一方、博多人形「赤とんぼ」事件(長崎地裁 昭48.2.7 昭和47(ヨ)53号)では、量産品であっても著作物性が認められています。たいやき君事件(東京地裁 昭和52年3月30 日 昭和51年(ワ)第3895号)では、原画である「たいやきくん」に依拠して、許諾なしに「ぬいぐるみ」を製造・販売する行為は翻案権(著作権法第27条)を侵害するとされました。

著作権ライセンス契約書
 講師として、様々な依頼に応じて講演しています。講演内容について著作権を譲渡してほしいとの、主催者からの申し出については、すべてお断りしています。同様の内容の講演を複数の箇所で行うことがあり、私の活動について譲渡した著作権との関係で、主催者側から制限を加えられることを防ぎたいためです。
 そこで、利用許諾契約ならよいかと思いますが、ライセンス契約を締結したいと申し出されたとき、留意することはありますか?

 講演内容は、原則として言語の著作物として保護されます。それゆえ、講演録を作成して出版することは、言語の著作物の複製権が働くものと理解され、あなたの許諾なしに行えない性格のものです。

 主催者からの申し出のままに、主催者に著作権を譲渡すると、ご指摘のような危惧があります。また、講演内容を文章化して出版され、その結果、あなたへの講演依頼が減少すると、講演を業としてなさっている場合には、不利益な状況におかれる可能性があります。そういう意味においても、著作権の譲渡の申し出についてお断りされていることは、よく分かります。

 また、とても感動的な話をされたような場合、それを脚本化し、それに基づいて映画化、アニメ化もあり得るようなとき、著作者としての地位に加えて、著作権者としての地位を残しておくことは、著作権ビジネスをコントロールする目的との関係において、重要と思われます。

 一方、ライセンス契約の取り決めのときには、その許諾の内容、範囲等は、原則として自由に設定できます。以下の内容につき協議し、書面に残しておくことが好ましいと思います。

1)利用できる地域
国内に限る。全世界で利用できる。国内のある地域で利用できる、など。

2)二次的著作物の創作権
すなわち、改変できる権利を認めるのか認めないのか。色彩の変更、著作物の外観の変更、追加又は切除、の可否。
二次的著作物の創作を認めたときの、成果物の知的財産権の帰属先。

3)範囲
講演録の出版及び販売、DVDの制作、動画によるインターネットによる配信、テレビ放映等のどれを許諾するのかあらゆる利用形態を網羅するのか。

4)独占的利用か否か
一定の条件下で独占的な利用を認めるのか、他にも許諾できるようにするか。

5)期間
任意に設定可能。

6)対価
一括支払方式、月額方式、年額方式、ロイヤルティ方式等及びそれらの組み合わせ方式及び支払方法。
(ロイヤルティ方式のときは、その計算方法の明確化が重要。)

7)再許諾 
サブライセンスの可否

8)ロイヤルティ方式を採用するときの監査の内容。
(ロイヤルティ報告書の計算ミス、過少報告対策。) 

著作権譲渡契約書
 パッケージデザインの仕事をしています。大手からの依頼のときは、たいてい制作委託契約書とともに著作権譲渡契約書を交わし、委託を受けたパッケージデザインを指定された保存形式で引き渡して、制作代金が支払われたときに、所有権と著作権は譲渡されるという内容になっています。
 先日、ある衛生用品のパッケージのデザインの色が、その企業によって変更されていることに気付きました。企業の担当者に問い合わせると、「あの商品は評判がいいので、姉妹品を販売することになった。同じシリーズの商品であるということで商品企画したので、色を変えたデザインとした。」との説明がありました。
 私は、その色彩の採択にあたり、私がデザインに込めた感情の表現としてメインの色を決定したのであり、その部分は変えてほしくないし、変えられるということは心外だと感じています。著作権を譲渡した後でも、色彩変更に抗議できるものでしょうか。

 あなたの制作したパッケージデザインが著作物であるという前提のもとで、ご説明します。まず、著作権の譲渡といっても、さまざまなものがあります。

 譲渡対象となる著作権を『財産権としての著作権』と表現することがあります。財産権としての著作権は、以下の12の支分権から構成されています。12の支分権の一部のみを譲渡することもできますし、全部を譲渡することもできます。

著作権図

 「複製権」は、世間でいう「複製」=コピーのみならず、イラスト集にして出版する権利等をコントロールできる権利です。「公衆送信権」は、著作物をテレビ放送したりインターネット上に発信することをコントロールできる権利です。

 この中で、著作物の色彩に変更を加えることができる権利は「二次的著作物の創作権」(著作権法第27条)です。この権利を譲渡したのであれば、相手方は、この権利に基づいて合法的に改変をおこなったと主張できます。

 この権利を譲渡していないのであれば、あなたが無断改変につき抗議できる立場にあることになります。

 この権利を譲渡したかどうかわからないときは、著作権譲渡契約書(又は譲渡証書)の文言をチェックしてください。

a) 以下の著作権は、貴社(貴殿)に譲渡した。
b) 以下の著作権(著作権法第27条、第28条に定める権利を含む。)は、貴社(貴殿)に譲渡した。

 「a」は、単に「著作権」と表示され、「b」は、「著作権(著作権法第27条、第28条に定める権利を含む。)」と表示されています。「a」の表記の契約では、二次的著作物の創作権は、著作者に留保されています。「b」のように「著作権法第27条、第28条」を特掲したときにはじめて、「二次的著作物の創作権」や「二次的著作物の利用権」は譲受人に譲渡されます。(著作権法第61条第2項)

 上記の条文は、著作者を厚く保護する規定といわれています。著作権を譲渡するときでも、著作権法第27条、第28条を特掲しない契約と特掲する契約では、クリエイターにとっては大きな相違があります。無断改変につき許諾する権限を残したいときは、上記両条文名を特掲しない内容で契約に臨むとよいでしょう。

 なお、著作権法第27条、第28条を含めて著作権を譲渡したときでも、「意に反する改変」を認めない権利は、残っています。これについては、後の「著作者人格権」のところで、説明します。

アサインバック
 イラスト作品を中心に創作しています。有名なキャラクターを合法的に改変する機会があっても、アサインバックによって、権利を取られてしまうという話を同業者から聞きました。アサインバックとは、どのような契約なのでしょうか。

 Y社とディズニーが提携して「Tシャツデザインコンペ」が2010年に公募されました。このとき、世界のデザイナーに「ミッキー」や「ミニー」を自由に改変してよいので、Tシャツデザインを考案して応募してください、という趣旨の呼びかけがありました。採択されたときは、Tシャツの商品化と賞金又は賞品が与えられるという取り決めです。

 このときの契約に詳しい弁護士のF氏によれば、ディズニー社は、今回の懸賞応募という目的の範囲において、「ミッキー」や「ミニー」に依拠した二次的著作物を創作することを応募者に許諾するという契約書(著作物利用許諾契約書)の中に、アサインバック(assign back)の規定があったとのことです。「assign」は「譲渡」を意味する英語です。

 本来は、創作した者に著作権が帰属するのですが、アサインバック規定により、二次的創作物の著作権は、すべてディズニーに帰属するということになったのです。

 応募したデザイナーは、採択されることにより自分の作品がTシャツという商品を通して多くの人に知られるためとてもよい機会を得たということができます。しかしながら、クレジット表示においては、著作者名が表示されることはありません。あくまで、ディズニーが著作者として表示されたTシャツとなるのです。そういう意味では、創作意欲を育てる方向には向いていないのかもしれません。

 いずれにしても、応募要領や契約書をよく読んでいただき、納得がいくようにされた方がよいかと思います。

肖像権・パブリシティ権
 写真家です。特定の人物を撮影するときは、撮影の許可を得るようにしているのですが、とっさに撮影したものや有名人をたまたま見かけて撮影するような場合もあり、そのときは許可までもとめていないことがあります。人物を撮影する上で、どのようなことに気をつけたらいいでしょうか?

 写真の被写体の人物には、人格権があることに留意しなければなりません。
 まず、人格権の中の「プライバシー権」について、ご説明します。ひとは、私生活上のことを無断でむやみに利用されない権利をもっています。これをプライバシー権といいます。公開されたことにより当該私人の名誉・信用を害するかどうかまで、問われることなく、「当該私人が実際に不快・不安の念を覚えた」ということであれば、プライバシー権により公的救済は与えられるものであると理解されます。(昭和36年(ワ)第1882号 昭和39年9月28日 東京地方裁判所判決 「宴のあと」事件)それゆえ、複数の通行人を撮影した写真であっても、その場所にいたことを知られたくない人にとってみれば、撮影されることが不快である場合もあると思われます。

 次に、人格権(憲法第13条由来)の中の「肖像権」をみていきましょう。  「何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」
 これは、初めて肖像権を事実上認めた最高裁判決からの抜粋です。(最高裁昭和40年(あ)第1187号 同44年12月24日大法廷判決 京都府学連事件)
 肖像権には、勝手に肖像を撮影されない権利だけでなく撮影された写真を勝手に利用されない権利も含まれます。すなわち撮影は承諾したが、「まさか、このような使われ方をするとは思わなかった。」ようなときの救済にもつながります。

 有名人にも肖像権はあるものの、報道の自由との関係において、私的な場面でもマスコミ等により撮影されることがあります。これには、有名人ゆえに一定の受忍をすべしとの見解が一般的です。

 肖像権であっても、一般人と有名人とでは、その利用のされ方に相違がみられます。有名人の氏名や肖像は、商品に直接使用したり、広告宣伝に使用することで、売上アップにつながる等の経済的利益を生み出す効果があります。有名人の氏名や肖像から生じる経済的利益や価値を排他的に利用又は管理する権利をパブリシティー権といいます。

平成24年の最高裁の判断では以下のように定義されました。
「肖像等は、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(以下「パブリシティ権」という。)は、肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから、上記人格権に由来する権利の一内容を構成するものであるということができる。」
 (最高裁平成21(受)2056 平成24年02月02日第一小法廷 請求棄却 ピンクレディー事件)

 ※「上記人格権」
⇒「人の氏名、肖像等(以下、併せて「肖像等」という。)は、個人の人格の象徴であるから、当該個人は、人格権に由来するものとして、これをみだりに利用されない権利を有すると解される。」

 単なる報道ではなく、パブリシティ権の利用に通じるものであれば、芸能プロダクション、プロ野球球団その他有名人のパブリシティ権の管理を行っている者との間において権利処理が必要となります。

著作権フリー、パブリックドメイン
 広告用のチラシを制作しています。著作権フリーのコンテンツをよく利用しますが、同業者が、フリーのコンテンツを利用していて、著作権者から警告書が来たといってあわてていました。どのようなことに気をつけたらいいでしょうか?

 ネットでフリーの写真やイラストを探して活用されることが多いかと思いますが、「フリー」の意味するところが以下のように様々であることが混乱の原因ではないかと思います。
① コンテンツ利用料が無料。(著作権を放棄していない。)
② 自由に利用できるが制限がある。(個人使用可+商用利用不可、目的限定等:著作権を放棄していない。)
③ 「パブリックドメイン」である。(保護期間が満了した著作物、著作権の行使を放棄した著作物)

 ※「パブリックドメイン」とは、日本語で表記すると「公有物」。著作者の許諾なしに利用できる著作物をいいます。ただし、著作者が生きていたならば、望まないであろうと認められるような著作物の改変については、遺族等から差止請求、損害賠償請求を受ける場合(著作権法第116条)があるので、注意すべきです。

 上記中①と②では、著作権は、制作者側に留保されているので、利用者がそのコンテンツを勝手に販売したり、制限を守らないときには著作権に基づき、権利行使されるおそれがあるとご理解ください。

 (参考:創作話です。)
 ホームページ制作を行う人が、他人の撮影した「ねぶた」祭りの写真を使うことにしました。フォトエージェンシーの提供する写真の中から、「商業的利用可」「改変可」とあったものを選択し利用代金を支払いました。そして、それをクライアントのホームページに写真を一部改変して掲載したところ、「ねぶた師」から著作権侵害の訴えを起こされました。

 まず、前提的な著作権法の知識からご紹介します。写真は、著作権法第10条に「写真の著作物」として例示されているように著作物とみてよいでしょう。例外としては、絵画のアーカイブ化の過程で、忠実に絵画をデジタル写真として保存するようなとき、証明書写真の撮影機械による撮影等が該当し、著作物性がきわめて乏しいものと思われます。

 写真の著作物との関係では、撮影者が著作者となります。撮影者が有料で写真の利用を許諾しているのですから、写真の著作物との関係では権利処理できているものと理解されます。

 ところが、撮影されたものが美術の著作物の場合はどうでしょう。勇壮な「ねぶた」そのものを撮影したものであれば、「ねぶた」が美術の著作物であれば、その写真を改変するときには、ねぶた師の承諾が必要になる場合があります。ねぶた祭りは、多くの費用がかかるといわれ、スポンサーの協賛金によって運営されているようです。そこでねぶたには、スポンサーの名称や商標が記載されていることが確認されています。このスポンサーの表示のところを書き変えて、クライアント名を表示したときは、美術の著作物の無断改変、または同一性保持権の侵害とみられる場合があります。

 写真の利用において、複数の権利処理が必要になる場合があることをご紹介しました。

著作権の保護期間
 著作権の保護期間について教えてください。

 著作権の保護期間の始期は創作した時であり、終期は原則として著作者の死後50年です。

著作権の保護期間

 (著作権の保護期間の例外)

著作権図

 (著作権の保護期間の計算方法)

著作者が何月に死亡したときも、翌年の1月1日から原則50年後を保護期間の終期とします。そこで、著作権の保護期間の終期の日付は、必ず12月31日となります。公表後50年の場合も同様であり、何月に公表したとしても、翌年1月1日から、保護期間の終期を計算します。(著作権法第57条)
 ※映画の著作物の場合は「公表から70年」と読み替えてください。

著作権の保護期間

 この考え方を使って、実際の映画の保護期間を考えてみましょう。アメリカ映画「ゴッドファーザー」は、1972年公開されました。そこで、翌年の1973年1月1日から70年後である2042年12月31日まで保護されることになります。

 わが国の著作権の保護期間が70年となったのは、2004年1月1日の改正著作権法の施行日からです。それまでは、保護期間の終期は、公開から50年でした。そこで、1953年に公開された「ローマの休日」「駅馬車」等の映画作品は50年目の2003年12月31日をもって保護期間満了となり、保護期間70年の恩恵をうけることができませんでした。それらの作品はパブリックドメインとなり、格安DVDとして発売されています。

 なお、著作権の保護期間については、旧著作権法の保護により現在も保護期間の中にある黒沢映画のこと、戦時加算により保護期間が延びる海外映画の問題があり、上記の計算式によって、必ずしもすべての映画の保護期間が正しく計算できるものではないことをご承知おきください。

著作者人格権
 著作権を譲渡した後でも、著作者として著作物の利用について権利行使できる場合について教えてください。

 たとえ著作権法第27条、第28条に規定する権利を含むすべての著作権を譲渡したときでも、著作者には、著作者人格権が留保されています。

 著作者人格権には、以下の3つの権利から構成されます。
① 公表権
② 氏名表示権
③ 同一性保持権

 これらの権利は、たとえ著作権譲渡契約書に「すべての著作権を譲渡します。」と記載しても譲渡されることのない一身専属性の権利です。(著作権法第59条) それゆえ、「著作者人格権を譲渡する。」という契約は無効となります。

 それぞれの権利をくわしくみていきましょう。

① 公表権(決定できる権利)
公表されていない著作物を公表するかしないか決定できる権利
公表するときに、いつどのように公表するかを決定できる権利

② 氏名表示権(決定できる権利)
著作物を公表するときに著作者名を表示するかしないか、を決定できる権利
公表に際して、本名かペンネームかを決定できる権利

③ 同一性保持権
著作物の内容や題号を意に反して勝手に改変されない権利

 裁判で多くみられるのは、同一性保持権に基づく訴えです。小説で悲劇を書いたのに、無断で喜劇に書きかえられたときの著作者の精神的苦痛を救済するといった目的の権利と思われます。

 なお、譲渡時の契約書に「著作者人格権を行使しない。」という特約を承認したようなときは、人格権の行使には制約があるものと理解されています。

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